胞状奇胎③
掻爬について
俗に掻爬と言われている”子宮内容物除去術”ですが、初期中絶・初期繋留流産などに対して行われる手術です。
文字のごとく、爪のような器具で子宮の中身を掻き出します。
私は初回の子宮内容物除去術を7週目の後半に行いました。
再診時のhCGは165,999.1 3日前が10万強だったので、上がり方から言ってもほぼ胞状奇胎と言われました。
正常妊娠では8週目で14,000~169,000程度です。
正常な妊娠だと高く出る人もいるが、心拍の確認されていない流産でこの上昇は無いとのことでした。
hCGとは家庭用妊娠検査薬にも用いられている、妊娠すると分泌されだすホルモンの一種です。hCG=50以上で一般的なドラッグストアで売っている検査薬は陽性と反応します。
子宮内容物除去術の為に翌日入院が決まり、術前検査(心電図・肺活量・術前採血・胸部Xp)を悪阻で死にそうになりながらこなしました。悪阻が酷いのでその場での入院も勧められましたが、息子の事があったので根性で帰りました。
翌朝、絶食・飲水は8時までの指示をまもり、9時半に入院。
10時頃に点滴(麻酔のための点滴なので針は20G入れるのかな?と思っていましたが22Gでした)
点滴が入り次第、子宮頚管を拡張するためのラミセルを入れました。
ネット上に気絶しそうとか歩けないとか、いろいろ激痛体験が落ちていたので、本気でびびっていましたが、私は生理が始まったときに起きる鈍痛程度でした。
(私の生理は軽い鈍痛から始まり数時間後に立てないくらい子宮が握りつぶされるような痛みに変わります。鎮痛薬必須です)
気持ち悪いけどMAXの生理痛よりは全然痛くなく、びびりまくってたので拍子抜けしたくらいです。
14時過ぎに病棟内の処置室で施術しました。
そのときに使った「ちょっとピリピリしますよ~」って入れた薬液がまぁ痛くて血管に沿って腕がしびれ、「こなくそ、何がピリピリじゃ、くそ痛いやんけ!?!?!?!」と内心で言葉汚く医師をめちゃくちゃ罵っていました(笑)
内心で罵っている間に意識がなくなっており、次に意識が戻ったのは自身の病室で、術後30分のバイタル測定の血圧の圧迫痛いわ~と思って意識がしっかりしました。
術後2時間は絶対安静で、酸素4Lも絶対はずしてくれませんでした。口渇くし、点滴100ml/Hで入ってるせいでトイレに行きたいで2時間後直前あたりは地味に辛かったです。
2時間たった時点でバイタルに来てくれるのわかってるけど尿意が限界だったのでナースコール。血圧測ってOK出た瞬間トイレに駆け込みました。
静脈麻酔は吐き気が出やすいのですが、私は全く無く「水が飲めたらご飯も食べて良いよ」って言われたので、付き添ってくれていた夫に「納豆巻きと梅にぎり買ってきて」とお願いしもりもり食べました。
その後、夕食を食べたら点滴が抜けクリニカルパスでは院内フリーになっていたので、院内ローソンまで夜食を買いに行こうとしたら夜勤ナースに怒られました。パスに書いてる事主張し、夜食はちゃんと買いに行けました!
胞状奇胎はつわりが酷く出る傾向にあり、私の場合"食べづわり"で空腹になると気持ち悪くて吐きそうになるので、おにぎり命でした。
この手術に伴う絶食も恐怖で仕方ありませんでした。でもなぜか当日は手術が終わるまで悪阻の症状は鳴りを潜め、吐くこともなく乗り切れたのですが、安心したとたん復活してきて夜食がどうしても欲しかったんです。
その後一泊し、翌日の内診も問題なく10時に退院しました。
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胞状奇胎②
総合病院の受診と心について。
7週目に総合病院へ転院し、初診予約の取れない病院であったため、朝10時に行って呼ばれたのは診療時間終了間近の12時半頃でした。
エコー画像上正常妊娠でないことは確か。採血してhCGが10万以上であれば胞状奇胎、以下であれば繋留流産として考える。ただ、流産であっても胞状奇胎の場合もあり、病理でないとはっきりはしないと。
採血のみして3日後に再受診する。
採血結果 hCG 102,291.5
胞状奇胎として扱うため早急に掻爬が必要であり翌日行うことに。
流産として扱う場合は、急ぐ必要なないため、翌週の都合のいい日に掻爬する予定でした。
心の準備もへったくれもありません。再診の前日までは「明日になったら心拍確認できたらいいのになぁ」くらい現実逃避していました。
たぶんですが、流産として扱える場合は心の準備を待ってくれるつもりだったんだと思います。
頭は理解していても心が全く追いついていなかったので、泣くことも悲しむことも無く1回目の掻爬は終わりました。
気持ちが追いついてきたのは、初回掻爬から1週間後に行った2回目の掻爬が終わった頃でした。
夫や子供の前ではなんともありませんでしたが、スーパーやコンビニでレジを済ませるだけの対人対応で涙が出てくるようになり、誰かの顔を見ると勝手に涙が溢れてきて、いつの間にか誰の顔も見れなくなりました。
当時、仕事をしていたので、胞状奇胎の疑いが出た次の日に上司へ相談しており、元看護職な上司は心が追いついていないことに気がついていたのだと思います。
その日から”病欠とし期間は落ち着くまで”と休みをくれていました。
その上司に、誰の顔も見れなくなったことに気がついた日に泣きながら相談に行き、上司に促され心療内科のドアを叩きました。
カウンセリングと筆記テストの結果は
”中等度の抑うつ状態”
まだ、鬱病といわれるまで症状は酷くないから薬も相談しながら、抗うつ薬も飲みたくないなら漢方で考えることもできる。と言われ、当時3歳の息子を車で15分の保育園へ毎日送迎していた私は「副作用で車が運転できなくなる抗うつ薬は困る」と答え、漢方薬と軽い睡眠導入剤を処方して貰いました。
「漢方だから絶対飲まなくちゃいけないことはない。辛かったら飲んだらいい。」
精神疾患で薬を飲むことは、認めたくないものを強制的に認めさせられている気分になります。薬を捨たり飲まないのは色々な理由があると思いますが、認めるってすごく心に負担がかかることなんだと私は思っています。
私は心療内科の先生に「辛ければ頼ればいい」と言われた事で抵抗なく飲みだすことができました。
※薬の自己判断での内服拒否を勧めてるものではありません。元看護師ゆえに薬の大切さも、きちんとした管理の大切さもわかった上で、当時の私の精神状態は内服を拒否していました。だから、それをきちんと医師に伝えて違う方法を提示して頂きました。ただ、伝えたからと違う方法があるとは限りません。私は凄くありがたい対応をして頂いたと思っています。
薬の自己判断はとても危険です。また薬は悪ではありません。合わない時、納得できない時は医師又は薬剤師に必ずご相談ください。
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胞状奇胎①
胞状奇胎(Hydatidiform mole)
異常妊娠のひとつで、受精卵が正常な細胞分裂せず胎盤となる組織(絨毛組織)が増殖するもの。
私が解釈した”病気を簡単に言う”とこんな感じです。
私は元看護師ではありますが、産婦人科領域に携わったことはないので、実際に自分が経験し調べ自分なりに解釈したことしか書けません。
主に私が調べた所は、大学病院のHPになります。
ここを見ている方はご存知の方が多いとは思いますが、卵子が受精し細胞分裂を繰り返しながら7~10日程で子宮に着床します。この時点で妊娠が成立したことになります。
胞状奇胎は、卵子が受精する過程で起こる異常妊娠になります。
種類は2つに分けられ、分ける理由はその後の経過に関わってきます。
①”卵子の核が欠損”したものが受精した「全胞状奇胎」
着床した受精卵の中に胎児となるものはなく、胎盤となる組織(絨毛組織)のみが増殖していく病態のものを言います。妊娠反応は出ますが胎児はいません。
卵子の核の欠損というと、母体に問題が・・・と思われそうですが、たまたま無かっただけで事故にあったのと同じようなものだそうです。胞状奇胎後の妊娠も問題ありません。
受精卵の中に胎児になる細胞と異常増殖した胎盤となる組織(絨毛組織)がある病態のものを言います。
胎児が確認され、発見が7週以降ですと心拍が確認できることもあります。
ただ、胎盤が正常なものではないので妊娠の継続はできません。心拍確認できたら生きているんだからどうにかしたい!!って思ってしまいます。でも悲しいかな、胎児が栄養や水分、酸素を得る手段は胎盤です。胎盤が役目を果たさないのでどうしようもないのです。
また、流産として処置を行った後に病理検査の結果部分胞状奇胎と診断されることもあるそうです。
あと"共存奇胎"と呼ばれる二卵性双胎に起きる胎児と奇胎が共存している病態があります。正常な妊娠の胎児の出産を望まれる場合、奇胎の除去を行わず妊娠継続される方もいらっしゃるそうです。ただ、様々なリスクがある事は確かです。納得するまで自身で考えて 、家族や信頼できる医師との話し合いで決めて行くしか無い事だと思います。
私は5週目で胎嚢を確認し7週目胞状奇胎と診断され、子宮内容物除去術の病理の結果「全胞状奇胎」と診断されました。
月経の開始時期に少量の出血があったのですが、そこからオリモノに少量の出血が混じるだけで月経には移行せず、2人目を希望していたので心当たりもありました。まだ反応しなくてもおかしくない時期ではありましたが自己検査しはっきりと陽性が出ました。
5週目
心当たりからカウントして5週目に婦人科受診。
胎嚢らしきものはあるが輪郭がぼやけておりはっきりせず、1週後に再受診
6週目
全く育っておらず出血も増えている。流産の鑑別のため採血施行。
hCG=5000以上(個人クリニックの簡易検査であるため5000以上は測定不能)
流産である場合はhCGは下がるので否定的。その場合考えられるのが子宮外妊娠と胞状奇胎。エコー上どちらも確認できないため1週間後に再々受診
7週目
素人目でも「ヤバイ・・・」と思うエコー画像。
子宮内に2cm大の白いものが2つと、子宮全体がもやがかっている。
かかりつけの先生にははっきり病名は言われませんでしたが、その場で大きな病院への転院を勧められ、家から一番近い3次救急の総合病院を選択。先生自らやり取りをしてくれ、その足で総合病院を受診しました。
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START
はじめまして。チャレンジパンダと申します。以後チャレパンと名乗ります。
20代は看護師として外来および2次救急外来、療養型病棟(今後1型介護医療院になるタイプ)で働き、30代になり病院はもう嫌だ!地域に出たい!!と老健をへて地域包括支援センターで働き出した矢先に病気がわかり、一時的に中等度の抑うつ状態に陥ったことで社会とのつながりがどうしても辛く、看護師ではなく元看護師になりました。
病気は全胞状奇胎と初期の肺腺癌
3歳男の子のお母さんです。
4人家族を目指しての妊活中に起きたいろいろが当面のブログのメインになります。
病気をメインに書くと色々と思われる方がいらっしゃるのは存じておりますが、主に備忘録目的です。
また、自身が病気に対してネット検索に依存していた頃、参考があるのと無いのでは治療に対する恐怖心が全く違い、私の経験が同じ病気の方への少しの心の安心に繋がればと思い書き記したいと思いました。
文章を書く習慣が、看護記録や相談記録、看護orケアプランを立てることしかしてこない日々であったので、長文は苦手としますが、すこしづつ書いていければと思っています。
将来的に好きなことや伝えたい事を、伝えやすく発信できるようになるのが目標です。
お付き合いくださいませ。